小関アスリートバランス研究所

Kab Labo

バランスの力

心と体のバランスを保つ
(ほぼ)日刊語録


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ピッチ走法とストライド走法|2006年8月11日

よく陸上競技でストライド走法とかピッチ走法と分けて考えることが多いようです。
先日お会いした東北福祉大の陸上部のO先生も似たようなことを言われていました。
これは単にストライド(歩幅)を大きくするとか、小さくするとか表面的な技術ではないというところに気づかなければなりません。

何故なら「貴方のストライドはすでに決まっている」からです。
いくら股関節の稼動域を広げても、それは変わることはありません。
瞬時に脚が長くなったり体格が変わったりするのなら別ですが、それはありえません。
正確に言えば、その時の貴方の状態によって変化すると言ってもいいでしょう。
歩く歩幅と走る歩幅は違います。なぜなら状態が違うからです。
もっと分かりやすく言うと、重心が低くなることによって変化します。(もちろん他の沢山の要素はありますが)
遠くに行くためには、歩幅に合わせて重心を低くしなくては、バランスを保ちながら体を運ぶことはできません。

ストライドを大きくするためには、重心を低くするのではありません。
ストライドを大きくするためには、重心が低くなるのです。

その状態に合わせた最適な構造体(ストライド)があるのです。
そう考えると自分でそのストライドを決めてしまうのはとても危険なことなのです。
今日のコンディションと明日のコンディションは違います。
それは当たり前なのです。
体の動きを規定することは、それと相反することなのです。

もし、ストライド走法、ピッチ走法と状況に応じて変えなくてはならないという人は、もしかしたら自分の歩幅が自覚できていないのかもしれません。
歩幅を規定せずに、スムーズに歩くことから心がけてみると、より体が楽になります。そしてそれが楽しくなるのです。

歩く歩幅は意識さえしなければ、大きくもなく小さくもないそんな状態のはずです。わざと歩いてみると分かりますが、歩幅を大きくしたり、逆に小さくすると体のどこかが緊張するのが分かるはずです。この緊張はバランスが崩れている証拠であることに気づかなければなりません。

貴方は最適な歩幅で走って(歩いて)いますか?

主体的動作|2006年7月25日

ブログの中で主体性という言葉がよく使われます。

しかし、言葉だけの理解だと単純な「自分らしさ」「個性」「常に優位に立つこと」だったりと、自己中心的な感覚に囚われてしまいがちです。
※詳しく知りたい方は講習会のご参加をお勧めいたします。

しかし、主体性がある動作は、必ず全体性が伴ってきます。
必要な要素が必要なだけ、適材適所に働いてきます。
つまり、全体性がなければ、それは主体動作ではないのです。

そして全体性があることは、協調性も同時に存在していることなのです。

主体即客体|2006年7月17日

主体性を保つことは、バランスを保っていることと同じです。

その主体性をいつも壊す要因は何か考えたことがありますか。

それは外敵です。
結果的には自分自身ですが、それはさておき、外敵を前にして主体性を崩さないためにはどうすればいいのでしょう。
(外敵…相手・味方・道具(ボール・バット・ラケットetc)・自分)

スポーツでは必ず相手がいます。
常に主体性を守る攻防合戦なのです。

その相手にバランスを崩されるということは、主体性を崩されたことになります。
主体性を崩されるということは、力・スピード・判断とすべての面で相手に劣る状況をつくりだすことです。

相手を意識するあまり、瞬時に主体から客体になってしまうのです。

相手は存在する限り無視するわけにはいきません。
しかし、認識し客体にならなければいいのです。

相手は目印とするのです。相手のことを考えたら主体から即客体です。それ以上考える必要はありません。

あくまでも存在を認めるだけでいいのです。
相手はただの目印なのです。

BBBも同じです。BBBに意識させられたら、BBBの上でバランスをとることはできません。主体はつねに自分にあることを忘れてはいけません。

A oneself range(自分範囲) 2|2006年6月16日

「A oneselfrange(自分範囲)」。その範囲を知るものは、パワー、スピード、美しさが持続され、より高いパフォーマンスを得ることができるのです。
トップアスリートは、よりこの状態を維持した動作ができる人たちです(ただ、より精密な自分範囲を分かっている人はごく少数)。

多くの人たちは自分範囲が描いているものと、実際の自分範囲には大きなギャップがあるのです。実際の自分範囲は意外に小さいことに驚く人は少なくありません。
見て理解しようとする結果、どうしてもこのギャップが生まれてしまいます。
まずは自分のカラダに聞くことで主体的なフォーム、動作を認識することが大切です。
指導して、「貴方の範囲はこんなものですよ」と伝えるとほとんどの人が「えっ、これだけですか?」と驚きます。
しかし、実際この範囲を一度理解しだすと、どこで自分がバランスを崩してしまっているかが、自ずと解明されていくのです。
スランプの原因やケガの原因追求、技術の進化にも大きく役立っていく、「A neselfrnge」はすべての人に知ってほしい内容です。
しかし、すでに皆さんの体には、すでにその答えはあるのです。

ストレッチによるパフォーマンスの低下!?|2006年6月13日

最近、日本でもストレッチによって筋力などの運動パフォーマンスの低下が問題にされ始めています。特にスポーツ選手にとっては大きな問題となることは間違いないでしょう。
今回はストレッチについてお話ししてみたいと思います。

一般的に運動する前・運動後に欠かせないものがストレッチです。
ストレッチとは伸縮するという意味で、筋肉にテンションをかけて伸ばすことによって、緊張した筋肉をやわらかくしたり、運動可動域を広げるための運動です。
しかし、このストレッチはただ筋肉を伸ばせばいいというものでもありません。実はストレッチの仕方によって、逆効果になることもあるのです。もちろんストレッチが悪いということではありません。大切なのは全体性です。
(特に反動をつけておこなうストレッチは注意!)

筋肉の性質として伸ばせば縮むという原則があります。ですから筋肉の伸ばしすぎは、筋肉の硬直を招く恐れがあるのです。
過度に筋肉を伸ばす行為によって、人間の脳に「この筋肉は、ここまで伸ばすことは可能だよ」という信号をインプットしてしまいます。しかしインプットされたにも関わらず、伸ばしすぎた筋肉は反射によってストレッチする前より収縮(硬直)してしまいます。ここで脳と体の矛盾が生じてくるのです。この状態で激しい運動、瞬間的な動作をおこなったらどうなるでしょうか?

野生の動物を思い出してみましょう。
チーターやライオンがアキレス腱を伸ばしてから獲物を捕ろうとするでしょうか。
子供のころあれほど激しい動きをしているにも関わらず、ストレッチなどはしていませんでした。こう考えるとストレッチが必要なのか疑問に思えてきます。しかし、スポーツの動作や練習を見ているとやらざるおえない状況を作っているのかもしれません(現状の運動概念によって)。
動作自体バランス良く自然にできてくると、あえてストレッチをする必要はないと考えています。武術家が相手と戦おうとする時ストレッチをしている暇などありません。瞬間に動いて相手を打ち倒さなければいけないからです。草野球をしている中高年をみていると入念にストレッチをする人はほとんど見たことはありません。キャッチボールをしながら少しずつ体をほぐしていきます。しかしケガというケガをする人は少ないのです。逆に入念(過度な)にストレッチをしている人ほど大きなケガに見舞われることはよくあります。このことからもストレッチをすることが、単にケガの予防になるとは言えないのが分かると思います。

いつも言っていますが、ストレッチの行為そのものに目を向けてはいけません。どんな要素を必要としてストレッチをおこなうかをしっかりと見定めていけば、大きな間違いはないのです。
では、どんなポイントに注意するばいいのでしょうか。
私たちが自然におこなうストレッチに注目してみましょう。
貴方は朝起きたら自然ストレッチをしているはずです。思い出してみてください。
そう、背伸びですね。
その時局部的な運動ではありません。全体的にぐーっと伸びる感じにおこないます。ライオンもチーターも猫も犬も背伸びをして体をほぐしています。私たちがおこなうストレッチも局部的なストレッチを避け、全体性のあるストレッチをすることによって、過度に伸ばすことなく、緊張した筋肉をほぐすことができます。ですから筋肉も収縮(緊張)しないし、楽な状態を作ることができてきます。またストレッチに変わって、歩く・軽く走る・ジャンプするなど全体性のある軽い運動が全体的なストレッチになります。前述したキャッチボールによるアップもこの全体性のあるストレッチと言えるでしょう。
実際のストレッチ場合どんところに注意すればいいでしょうか。例えば左右の伸脚。どうしても膝裏だけに負荷をかける人が多いのですが、これは踵から足の根元まで全体が伸びるようにするだけで、効果は全く違います。上体の側屈ストレッチも脇の下だけを伸ばすのではなく、指先(真上に伸ばすように)から足先まで伸びる感じを持っておこなうだけで、全体性のとれたストレッチとなります。

もう少し科学的根拠をご覧になりたい方は、こちらを参考にされるといいと思います。
参考資料

貴方の従業員は何人ですか?|2006年6月 3日


KAB LABO.のバランストレーニングは、軸感覚、中心感覚を鍛えるという、単一的なトレーニングではありません。
すべての動き・形にバランスという要素が存在するなら、動作をおこなうことが即バランストレーニングとなり、パワー・スピード・美しさ、メンタル強化とすべてのことが一体とならなくてはなりません。
前述したように軸感覚と中心感覚をわざと意識させることは、全体性を損なうことになってしまうので、「全体の安定性」を第一に考えてトレーニングすると効果的となります。

一般的に片足立ちを例にとってみます。だいたい普通は、地面に着いている足だけを、意識しバランスをとってしまいます。
それは、軸感覚、つまり固定状態になってしまいます。
普段、歩く時に片足ずつ軸を移動しながら歩いているでしょうか?そんな歩き方をしたら普段の何倍も疲れてしまうはずです。
何気なく歩いているときは、全体性がありますから、普通は今やったような片足重心になることはありません。
(これは全体性があるかないかを自覚するには分かりやすいので、是非体験してみてください)
体の役割はそれぞれにしっかりとあって、地面に着いている足だけではなく、浮いている足、腕、体すべてが「片足をあげる」という運動に参加しなくてはなりません。
もしその状態をつくっているのなら大変です。

例えば、自分の体に100人の従業員がいるとします。
動作をおこなうのに、100人が役割をもって働けば、スムーズに負担なく仕事は進みます。
しかし、70人が働いて30人が休んでしまったらどうなるでしょう?
30人分労働を70人が背負わなければならなくなるのです。
これが毎回続いたら、常にオーバーワークをしているのですから、必然的にどこかがパンクすることは想像がついてきます。つまり、ケガやバランスを崩すことに繋がるのです。
それを回避するには、自分の全体性を知ることです。

今、貴方の体は何人が働いてくれているでしょうか?

A oneself range(自分範囲) 1|2006年5月22日

A oneself range (ワンセルフ レンジ)、日本語で自分範囲
これは動きにおける、前後左右すべての方向にこれが存在するもので、バランスを理解するには、みなさんに必ず理解してほしい要素の一つです。

手を伸ばすことでもバランスを壊す伸ばし方とバランスを壊さないで伸ばす方法があります。一見同じような行為ですが、全く異質なものなのです。

バランスを壊してしまうと、必ずどこか局部的に緊張が生まれます。この状態を作ってしまうと全体性がなくなり、本来の要素が消えてしまうばかりではなく、ケガの原因ともなってしまいます。
しかし、この感覚を理解できるようになると、どんな動きにも自信をもつことができてきます。

何気なく歩いているとき、生活の中での動きに「oneself range」の要素が沢山含まれています。
意識して少し大またで歩いた時、極端に歩幅を狭くした時、どこかが緊張を起こしているはずです。その時すでにボディバランスが崩れています。

バランスが良い人とは「oneself range」を知っている人なのです。

いいバランスとは、全体性が整っていること|2006年5月 5日

いいバランスとは、全体性が保たれている状態を言います。
これまで様々な動きを見てきた中で、早い動き、強い動きができた時は必ずこの全体性があるのです。

では、全体性とはなんでしょうか。

例えば、戦のときに武将がつけている甲冑(かっちゅう)(鎧のこと)ですが、これは重いもので20キロはあるそうです。
これをまとめて持ってみることを想像してください。
いったい何分持ち続けられるでしょうか?どのくらい歩けるでしょうか?そして走れるでしょうか?
考えただけでも大変な体力を必要とします。とくに女性・子供には大変なことです。
しかし、これを身にまとったらどうでしょうか?走ることも、馬に飛び乗ることもできるわけです。さらには泳ぐこともできた人がいたわけです。
この違いはいったい何でしょうか?

簡単に説明すると、甲冑をまとうことによって、全体性が伴ったのです。このことは、いいバランスを語るのにはとても重要なポイントなのです。

では、全体性を掴むにはどうしたらいいでしょうか。
まずはちゃんと立つことです。
こんなに簡単な答えなの?と聞かれますが、兎に角ちゃんと自分の立つ運動をおこなえることなのです。

では実験をしてみましょう。
・少し重い荷物を持ってみましょう。(両手でもてるもの)
その感じを覚えてみます。(無理はしないでください)
・足下に荷物を置いてください。
・次に、ただ立ちます。前を向いて膝をリラックスして立ってください。
・立っている状態ができたら、そのまままた荷物をもってみましょう。

どうですか?

最初持った感じと違うはずです。
楽にもてませんでしたか?
これが全体性がない状態とある状態の違いです。

それが複雑な動きになっても「主」となる自分が存在することがもっとも大事なことなのです。


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立つことは運動|2006年2月 2日

立つ運動

一般的に、静的バランス、動的バランスと表現される場合があります。実は両方動的バランスと言えるのです。
静的バランスというのは建物など無機物のものならそう表現してもいいかもしれません。厳密に言えばそれでさえも動的と言えるかもしれませんが…動きは小さいけれど、活動状態は同じなのです。

スポーツ競技ではパフォーマンスが必要です。しかし、その前に基本的な動作があります。一般的にジャンプする、走る、歩くなどの運動が前提条件となります。さらにその運動の前には「立つ運動」つまり姿勢を認識することから始まります。

生後数6ヶ月以内の赤ちゃんは、正確に手を伸ばしたり、頭を回転させて正確に追跡することはできません。しかし乳児用の椅子に座らせた状態であったり、大人の膝に抱かれたりすると、生後6ヶ月以下の赤ちゃんでもしっかりその行動がうまくできるのです。
この例をみても動作を起こすために、姿勢制御がいかに大切な能力であるかすぐに理解できます。

立つことが運動と認識していない人が多いのが現状です。
例えば、ただ立っているだけですが、静止して立っていることは不可能です。
人間はただ立っているだけでも、頭の頂上で約2センチ〜3んセンチの動揺が常に存在しています。

ライフル射撃競技、弓道、アーチェリーなど一般的に静的運動と言われる競技を体験した人は理解できると思います。
ただ立つことさえ、いかに自分は動いているか感じることができると思います。そして体を止めることが不可能なことも。
私は、これらの競技は究極の動のスポーツといっても過言でありません。

中国武術でも立禅、站椿という立つ稽古をとても重要視されていることからも、「立つ運動」をちょっと見直してみてはいかがですか。
 

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バランスを知る|2006年2月 1日

バランスといってもとても広い意味があります。
「バランスとは?」という問いに明確に答えられる人は多くはありません。

「りんごが木から落ちる」この「重力」という原理原則は変えられない真実です。
同じようにバランスの要素は、地球上にあるすべてのものに存在する原理原則とも言えます。

この原理原則から外れるとどういうことが起こるでしょうか。
山の木を伐採すれば土砂崩れが起き、川をせき止めれば洪水が起こります。バランスを崩せば連鎖反応で関係しているもののバランスが崩れてきます。
見た目や効率化、そして外部からの大量な情報をに左右され過ぎるともともと持っている能力を眠らせてしまいます。
嘘をつくと嘘でかくさなくてはならいように、この原理原則から外れると、常に表面的なもので隠さなくてはなりません。
まるでイタチごっこです。
スポーツの観点からみてもそれに、逆らうことが怪我の原因(つまりバランスが崩れた結果)ともなります。
バランスを再認識することで、今まで潜在意識に入り込んでいた癖をアウトプットしより正しいバランス認識をインプットしていきます。そうすると徐々に本来人間のもっている能力というものがどういったものかが実感できてくるのです。

ではバランスを理解するにはどうしたらいいでしょうか?

原因があるから結果があり、光があるからか影がある、善があるから悪があるように、不安定があるから安定があるわけであり、それは同時に存在するものなのです。あなたに欠けている要素は何でしょうか?
オーガニックな食事をつねに心がけている人は、人工的な加工を加えた食品には敏感になります。良いバランスを理解できてくると、悪いバランスをさらに認識できてくるのです。

研究所では実践的なボディバランスプログラム、ボディバランスボードの開発、そしてオリンピック選手やプロスポーツ選手を中心に体の使い方や考え方を指導しています。

技術的な部分だけではなく、人間の根本的な動作を少し認識できるだけで、今までのパフォーマンスの底上げができるのです。

今まで10の能力をだすためには10のパフォーマンスやフィジカルが必要でした。
もし、バランスの概念を認識することによって、楽に7や6のパフォーマンス・フィジカルで以前の10が発揮できたらどうでしょうか?

それは少ーし自分の心と体に素直になるだけなのです。

結果は様々なアスリートたちがこのトレーニングをヒントに取り入れ変化していることでも証明されると思います。

バランスを認識するということは、自分の体と会話をすることでもあります。自分の体とコミュニケーションがとれるようになると、怪我の早期対処も可能になります。

バランスとは能力を発揮するためのキーワードです。力であり、スピードであり、柔軟性であり、美しさであるのです。


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