小関アスリートバランス研究所

Kab Labo

バランスの力

心と体のバランスを保つ
(ほぼ)日刊語録


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ストレッチによるパフォーマンスの低下!?|2006年6月13日

最近、日本でもストレッチによって筋力などの運動パフォーマンスの低下が問題にされ始めています。特にスポーツ選手にとっては大きな問題となることは間違いないでしょう。
今回はストレッチについてお話ししてみたいと思います。

一般的に運動する前・運動後に欠かせないものがストレッチです。
ストレッチとは伸縮するという意味で、筋肉にテンションをかけて伸ばすことによって、緊張した筋肉をやわらかくしたり、運動可動域を広げるための運動です。
しかし、このストレッチはただ筋肉を伸ばせばいいというものでもありません。実はストレッチの仕方によって、逆効果になることもあるのです。もちろんストレッチが悪いということではありません。大切なのは全体性です。
(特に反動をつけておこなうストレッチは注意!)

筋肉の性質として伸ばせば縮むという原則があります。ですから筋肉の伸ばしすぎは、筋肉の硬直を招く恐れがあるのです。
過度に筋肉を伸ばす行為によって、人間の脳に「この筋肉は、ここまで伸ばすことは可能だよ」という信号をインプットしてしまいます。しかしインプットされたにも関わらず、伸ばしすぎた筋肉は反射によってストレッチする前より収縮(硬直)してしまいます。ここで脳と体の矛盾が生じてくるのです。この状態で激しい運動、瞬間的な動作をおこなったらどうなるでしょうか?

野生の動物を思い出してみましょう。
チーターやライオンがアキレス腱を伸ばしてから獲物を捕ろうとするでしょうか。
子供のころあれほど激しい動きをしているにも関わらず、ストレッチなどはしていませんでした。こう考えるとストレッチが必要なのか疑問に思えてきます。しかし、スポーツの動作や練習を見ているとやらざるおえない状況を作っているのかもしれません(現状の運動概念によって)。
動作自体バランス良く自然にできてくると、あえてストレッチをする必要はないと考えています。武術家が相手と戦おうとする時ストレッチをしている暇などありません。瞬間に動いて相手を打ち倒さなければいけないからです。草野球をしている中高年をみていると入念にストレッチをする人はほとんど見たことはありません。キャッチボールをしながら少しずつ体をほぐしていきます。しかしケガというケガをする人は少ないのです。逆に入念(過度な)にストレッチをしている人ほど大きなケガに見舞われることはよくあります。このことからもストレッチをすることが、単にケガの予防になるとは言えないのが分かると思います。

いつも言っていますが、ストレッチの行為そのものに目を向けてはいけません。どんな要素を必要としてストレッチをおこなうかをしっかりと見定めていけば、大きな間違いはないのです。
では、どんなポイントに注意するばいいのでしょうか。
私たちが自然におこなうストレッチに注目してみましょう。
貴方は朝起きたら自然ストレッチをしているはずです。思い出してみてください。
そう、背伸びですね。
その時局部的な運動ではありません。全体的にぐーっと伸びる感じにおこないます。ライオンもチーターも猫も犬も背伸びをして体をほぐしています。私たちがおこなうストレッチも局部的なストレッチを避け、全体性のあるストレッチをすることによって、過度に伸ばすことなく、緊張した筋肉をほぐすことができます。ですから筋肉も収縮(緊張)しないし、楽な状態を作ることができてきます。またストレッチに変わって、歩く・軽く走る・ジャンプするなど全体性のある軽い運動が全体的なストレッチになります。前述したキャッチボールによるアップもこの全体性のあるストレッチと言えるでしょう。
実際のストレッチ場合どんところに注意すればいいでしょうか。例えば左右の伸脚。どうしても膝裏だけに負荷をかける人が多いのですが、これは踵から足の根元まで全体が伸びるようにするだけで、効果は全く違います。上体の側屈ストレッチも脇の下だけを伸ばすのではなく、指先(真上に伸ばすように)から足先まで伸びる感じを持っておこなうだけで、全体性のとれたストレッチとなります。

もう少し科学的根拠をご覧になりたい方は、こちらを参考にされるといいと思います。
参考資料