小関アスリートバランス研究所

Kab Labo

バランスの力

心と体のバランスを保つ
(ほぼ)日刊語録


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バランスの極意 「軸、中心、重心」|2006年12月14日


バランストレーニングでもっも重要なポイントをいくつか挙げてください。と質問すると、必ずといっていいほど、「軸感覚、中心感覚、重心感覚」という答えが返ってくる。

このキーワードをマスターすれば、バランストレーニングを語れるだろうか?
実際、私もこのような表現はよく使っていたが、いつのころからかまったくと言っていいほどこの言葉は使っていません。

それはなぜかと言うと、これらの感覚は正確にいうと感じることができないからなのです。
これはバランストレーニング業界にとって、爆弾発言かもしれません。

講習会に参加くださった皆さんは、なんとなく理解はしてくれていると思いますが、この事実が実は私たちを苦しめていたのです。

より自然な動作を追求していくにあたって大切なのは、自然な状態はどんな状態なのかを知ることです。
そこを観察できてくるとこの、重心や中心、軸といったものを感じることができないことに気づきます。
そしてその感覚を自分で作り上げてしまった瞬間、本当の意味の重心や中心、軸は失われてしまうのです。

バランスが保たれている状態を第三者が観察すると、中心や軸があるように、確かに見えるのです。
しかし、本人はそれを感じることはありません。
例えば、片脚立ちなどやってみると一目瞭然です。
まず、片脚立ちをやってみます。そしたら、その軸となっている脚を「軸」として捕らえて、片脚立ちをやってみてください。
そうすると、とても不安定になってくるのが分かると思います。

では、次に同じ片脚立ちをしますが、今度は軸などを意識せず、体全体を片脚立ちという運動に参加させてみてください。(両足、両手、体幹、頭と体のすべて)
どうですか?軸を作ったときより安定してくるのが分かると思います。
他にも日常生活の動作やスポーツ競技においても同じなのです。
また、ボディバランスボードに乗って上手くバランスが保たれている時、それを感じることはありません。
しかし、鏡で自分の姿を見たときに、確かにその存在はあるのです。
歩いている時に、バランスをわざわざ意識しないように、これらの感覚も同じなのです。

つまりここで言いたいのは、人間がこの地球に存在しているだけで、この軸や重心、中心といった要素は既に存在していており、寝ても覚めてもこの状態があるのです。
それを我々が改めて取り出し、新たな感覚として付け足す必要なないのです。

重心や中心、軸を知りたいのであれば、まずそれを感じようとしないことが第1歩となります。そして気づいた時にその存在があることを知ることができるのです。

まじめな人ほど、言葉の枠に囚われやすいのでご用心ください。