小関アスリートバランス研究所

Kab Labo

バランスの力

心と体のバランスを保つ
(ほぼ)日刊語録


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アスリートが大事にしているもの|2006年7月 7日

いつも指導の中で大切にしていることは、自分の動作を自分で判断するこです。さらに、その判断する方向性を自覚していなくてはならないことです。アスリートでも常に安定して成績を出している選手は必ずこの感覚は持ち合わせています。
たとえば、ゴルフでのスイングにおいても、バットのスイングにしてもサッカーの蹴る動作にしても、結果的に大事なのはスムーズに動けるか、違和感なく動作できるかなのです。
このスムーズさ、違和感があったらまず、バランスが崩れていると考えても良いでしょう。「今日は大腿筋が凄く張ってるなぁ♪」「肩が筋肉痛だよ。今日はがんばったなぁ♪」と満足してはいけません。それは動作の偏りの表れなのですから。
様々なトレーニング方法が世の中に出回っていますが、それが自分に効果的かどうかは、スムーズさ、違和感を感じてみれば一目瞭然なのです。
そういう判断ができるようになるには、自分のカラダの感覚に対して外からの評価を持ち込まないことです。もちろん、参考にするのは構いません。ただ、監督にこれでいいと言われたから、コーチにこう指摘されたからこれでいい。…で終わってはいけません。アドバイスをもらったら、最終的な判断は自分でくださなくてはなりません。本当に細かいところは自分で修正しなくてはならないからです。トップアスリートでも安定した成績を出せる選手を見ると、ここが見事にできています。
先日「ゴルフダイジェスト7/11」をみていたところ、宮里藍選手の記事が特集されていました。彼女のスイングを自分で解説していましていましたが、さすがだなと関心したのが、最初と最後に付け加えていた言葉です。
「私にとってもっとも重要なのはフィーリングとタイミングなのです」と冒頭にコメントし、スイングについて細かくポイントを説明していました。そして最後に「…そういう細かいことは、コースに出たら一切考えないようにしています。それよりもいかに違和感なく、スムーズに振れるかということのほうが重要。コースにでれば感性の赴くままフィーリング重視でクラブを振る。これが私のスタイルです」と締めていました。

どうですか。さすがですね。細かい理屈は最終的について来るのであって、まずは全体性が整っていることが大切だということを、よく分かっていますね。何を目標にしているのか、大切なところをしっかりと見定めているからこそでる言葉ですね。でもこれはトップアスリートだからできることではなく、皆さん一人一人ができることなのです。だって自分の体を信用し、その体の声を素直に聞けばいいのですから。すべての答えは自分自身にあるのです。

ちなみに「ゴルフダイジェスト7/11」p75/p77 に私の記事も載っています。良かったらご覧ください。

二次元的思考と三次元的体|2006年6月 3日


何度も言いますが、大事なのはバランスは鍛えるものではないということです。
もともと持っているの能力ですから引き出すことなのです。
野生の動物で言えば、サルやチーターがわざわざバランストレーニングをしているでしょうか。
人間も同じ動物ならば、本来そのような要素が備わっていると考えることが妥当といえるでしょう。ではどうしたらその状態を認識すればいいでしょうか。

「貴方がいい状態・いいプレーをした時を思い浮かべてみましょう」
どうですか?
多分本当に思い浮かべることは困難なはずです。
なぜかというと、人間(世の中)は三次元の動物なのですが、不思議と人間の思考だけが二次元的だからです。人間の動作は三次元ということになります。三次元の動作を二次元の思考で理解すること自体がそもそも間違いなのです。

例えば、初めて自転車に乗ろうとした時、すぐに上手に乗れたでしょうか?すぐ乗れた人は、人に指導されなかった人か、アドバイスを聞いているようで、聞いていなかった人でしょう。
逆に、まじめにアドバイスを真に受けた人ほど、なかなか乗れなかったはずなのです。
これが二次元的動作と三次元的動作の違いなのです。
人間はの意識は1つのことしかできません。
しかし体は同時に沢山のことができるのです。
何でも上手くできる人は、簡単にやっているように見えますよね。
本当に簡単にやっているのです。

ですから、ただ単にいいプレーを思考で生み出そうとすると、大きな落とし穴に落ちる可能性があるのです。もしイメージをするのであれば、なんとなくがちょうどいいでしょう。
一流プレーヤーは実際の動きの中では、思考でプレーはしていません。しっかり大事なところは、体に任せているのです。
動きを思考で理解しようとしている人たちほど、実は二次元的なぎこちない動きしか表現できないのです。

まずは自分の思考に「動作は三次元だ」と理解させ、体に任せてみることから始めてみましょう。

頭で理解していること、体で理解していること|2006年5月27日

自分よりレベルが高い選手から指導を受ける場合、できるだけ具体的な指導は避けるべきだと思っています。指導を受けるなと言っているわけではありません。それはあくまでも重要なヒントとして受け取ることが大切なのです。

 なぜかというと、骨格、構造、筋力、精神力、性格などすべてにおいてその人とは違うからです。全く同じ人は存在しません。ですから、その人に合ったフォーム、動きは本当は自分にしか分からないはずなのです。前も言いましたが、それには主体的な感覚がまずは必要なのです。

 実は教える方も意外にそれを理解せずに自分の具体的な部分だけを教えてしまう人がいます。結果から結果をもとめてしまうようなもので、主体的な感覚を鈍らせてしまう可能性が大いにあるのです。

よくテレビで解説者(元選手)がプレーしている選手の動きを解説していますが、意外に間違っていることを言って場合が多いのには驚きます。

 トップアスリートの表現を聞くと面白い答えだったり、理解ができないような表現をしたりして、お茶の間を笑わせたりしますが、実はアスリートたちは大真面目で、そういう場合だいたい抽象的な表現をしています。しかしそれしかできないからそういう表現になってしまうのです。感覚を言葉で正確に伝えるというこはそんなものなのです。それを理解するには、実際に動いてみたり触れたときにその表現意味を理解することができるのです。

 言葉で理解したら、体でも理解してみましょう。前者の100倍以上の情報が得られるはずです。体で理解していることは、頭では理解できません。頭で理解できているものは、その表現のほんの一部なのです。

カラダで認識してみる|2006年2月 6日

私がお伝えできることは、難しい理論や高度な練習方法ではありません。
もっと根本的な部分にアプローチし、まずは本人にその大切さを自覚してもらうことです。
それによって、高等技術が大きく変化していく様子を何度も見てきました。
表面的な技術はあまり大きな変化がありません。
トップアスリートになると技術自体は大きな差はありません。
その差がでるのは「動きの質」なのです。
何度も言いますが、劇的な変化のキッカケは身近なところに存在しているのです。
スポーツ選手もそうでない人も、バランスが大切だということは分かっていても、それが何故大切なのか、またどのくらい大切なのか理解している人は少ないでしょう。
それなら、勉強すれば理解できるでしょうか。
いいえ、100%理解することは不可能です。
なぜなら、カラダで感じることを疎かにしているからです。
カラダで感じ、認識することがとても大事になります。
私たちのカラダが頭で理解できる程度であるならば、みんな簡単に一流のアスリートになれるでしょう。
また、これほど多様なトレーニング方法や多くの指導者は存在しないわけです。
「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、「一考は一動にしかず」というのが、一番適当な言葉だと思います。
体で得る情報は、頭で考えることより数百倍、数千倍の情報量があるのです。
みなさんも身に覚えがあるはずです。
今まで、多くのトップアスリートや子供から高齢者まで様々な人を見てきましたが、ほとんどの人が日常的な動作には支障がない反面、多く人が自分のカラダを有効に使えていないことも事実なのです。
そこには、「思考」という壁が存在していたのです。

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ゾーン|2006年2月 5日

スポーツ競技をしたことがある人やそれ以外でも様々な場面では一度は体験したことがあると思います。

何故その動きができたのでしょう?何故その時に行動したのか?最高のパフォーマンスはそう何度も体験できるものではない。

これがいわゆるゾーン体験というものです。

しかし、その時の状況を思い起こしても、どうしてそのような動
きができたのか分からないことがほとんどです。その動きをもう一度求めれば求めるほどその動きからは遠ざかります。

何故でしょう?

過去を求めてしまうところにヒントがあるのです。今起こっている現実は瞬時に過去のことなります。また私たちのカラダをはじめ様々なものは常に変化し続けているのです。細胞分裂を繰り返し、生まれ、死に、腐食して、新たなものに変化して…と。
過去の瞬間を求めれば求めるほど、執着すればするほど、同じ動きができないのは、実は当たり前なのです。
スランプなどはその典型なのです。

同じ現実は二度と戻らないのです。
そして常に新しい今を認識していくことが、ゾーン体験の近道になるのです。


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